平屋の大人暮らし
10年以上の歳月を経て、より実感できる本物の良さ。
建築家:交久瀬 常浩 | 新築注文住宅
10年以上の歳月を経て、より実感できる本物の良さ。
建築家:交久瀬 常浩 | 新築注文住宅
焼杉の黒と白壁のコントラストが印象的なS様邸。
IFA住宅設計室が創業した当初に建てられたお住まいとして、
IFAのアイコン的役割も担っていただいています。
交久瀬先生、谷口、中島(写真)でお伺いしました。
IFA住宅設計室がまだ創業したての頃、
交久瀬先生が設計した、室長 菊井の自邸の見学会を開催していました。
その最終日、当時お住まいだった団地の取り壊しが決まっていたS夫妻がご来場。
スタイリッシュで優れたデザインに心を動かされたそうです。
当時、構造計算偽装問題があったりと、建築業界に不信感があったそうですが、
菊井社長が語る家づくりへの思いをじっくり聞くうちに、
是非この会社でお願いしようと思っていただいたとか。
とてもありがたいお話です。
家づくりにあたってご夫婦が出した希望は、終の棲家として、
風通しがよく光があふれる家にしてほしいということと、
共働きのため防犯面を意識したいという 2点でした。
それ以外は特に希望を出されなかったそうですが、
エリアはある程度限定されたお二人。
街全体がゆったりと区画されているエリアとして、
枚方市山之上西町や同じく枚方市香里ケ丘6丁目、
7丁目あたりを希望されました。
枚方でも人気のエリアで、なかなか物件がなかったそうなのですが、
運のいいことに、ほどなくして築40年の古家付き角地に出会えたそうです
古家付きの土地だと、ここでどんな家が建つかイメージしにくいと言われるお客様も多いのですが、
お二人はその古家の庭木を見て、「この雰囲気を残したい」と思われたそうです。
実際に、古家にあったヤマモモの木をそのまま残したことで、新築の玄関に当初より風格が備わっていました。
土地が見つかって、はじめてのプラン提出。
交久瀬先生は、大胆すぎるかとおそるおそる…提出されたそうですが、
それを見たS様ご夫婦は、「こんなすごいの、建ててもらえるの?!」と
逆にびっくりしたそうです。
このプランがべースとなり、そのまま進化した形で、プランは進んだそうです。
現在のIFAでは、約一か月に1邸のサイクルで見学会を開催できるようになりましたが、
創業当時は見学会もありませんでした。
そんな中で、S様ご夫婦は交久瀬先生が持参した20世紀の北欧を代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの作品や、
アメリカのモダニズム建築の傑作を生んだCASE STUDY HOUSEなどの事例を見ながら、
知識を深め、我が家に対する夢も膨らませていきました。
プランは、お二人がこれからの時間をゆったり過ごすのに最適な平屋で構成。
敷地の2方を道路に面し、それなりの交通量があること、そして防犯面も考慮して、
外観はほとんど窓のないつくりとし、家の中心に中庭を設けたコートハウス形式になりました。
間仕切り壁のない大空間のLDKは、床の高低差や天井の勾配によって空間に変化を与えています。
これから年齢を重ねていく上で、あえて床に段差を設けることに不便を感じるかもしれませんが、
S様はそれを上回る魅力を理解していくださり、プランが進んでいきました。
材料もショールームに一緒に出向いて選定。
「その帰りにワインを飲みながら、話が弾んで弾んで、仕方がなかったですよねぇー」と
交久瀬先生は当時を懐かしく振り返っていらっしゃいました。
そして上棟式。骨組みだけの状態が造形としてとても美しかったこと、
“はぁ家が建つんやぁ”と実感したことを、
ご主人は今でもはっきり記憶されているそうです。
暑い中、一生懸命頑張ってくれる大工の姿に感動し、
ほぼ1日おきに差し入れをもって現場を訪問いただいたそうですよ。
今回、久々にS邸にお邪魔した交久瀬先生。
まず第一声は、「すばらしく育ちましたねー」でした。
はいもちろん、「家が」です(笑)
玄関に入ってまず目に飛び込むのが、外からは全く見えない「和魂洋才」のモダンな枯山水の中庭。
庭木は立派な成長を見せてくれました。
聞くと、信頼している庭師に定期的に管理をお願いしているとのこと。
自然を尊重しながら美しく構成された庭は、10年の時を経たからこその魅力がありました。
そして、床や柱の色味。チークや大理石タイルなど、
本当によい材を贅沢に使用したS邸。
その良さは、時間がたつほどに増し、深みを帯びていました。
新建材には真似できない天然素材ならではの「育ち」です。
書斎には趣味の本が、
ダイニングにはお二人のお好きなワインの瓶がずらりと並んでいます。
持っていた家具を考慮して設計しているので
新たにを買い足す必要もなく、ほぼ入居した当時の状態を保たれているとのこと。
まさにライフスタイルが確立された大人世代ならではです。
(写真は竣工当時の写真です)
今回のインタビューは、和室とリビングの2か所で行われました。
美味しいお手製のゼリーと台湾のお茶をいただきましたよ。
ご主人の一番のお気に入りが和室。庭からの光を眺めていると、何より落ち着くそうです。
和室からは目線の高さに庭の緑を眺めることができます。
続いて、リビング。ダイニングから一段下がったリビングからは、
地面との一体感を感じて庭を眺めることができます。
奥様のお気に入りは、なんとリビング上部のキャットウォークだそう。
文字通り愛猫のための仕掛けですが、こっそり奥様が愛用されているそうですよ。
絶対、誰もがのぼりたくなりますよね。
「この家でいると季節を心地よく感じられるんです。」とご主人。
冬にはぐっと奥まで光が入ってきてぽかぽかと温かい。
夏場も2-3時間クーラーをつけることはあっても、
他はほとんどクーラーが必要なく、窓を開け放してすごしているそうです。
インタビューもとても暑い日でしたが、
「夏にお邪魔して、こんなに気持ちのいいお宅はないです」と、
当の交久瀬先生が驚かれていました。
何より自然を大切に考えられたお住まいだからですよね。
平屋の良さについては、やはり地面を感じられるところ、
そしてなんとなくお互いの気配を感じながらも、近すぎず・・・の、
抜群の距離感だとおっしゃっていました。
いざ喧嘩したら、籠れるスペースが用意されているのもポイントだそう。
特に本を読むスペースに事欠かず、その時の気分によって座る場所を選んで、
趣味の読書にいそしまれるのだそうです。
休日ももっぱら家ですごし、
夕方早くからじっくり時間をかけてお酒と食事を愉しまれるのだとか。何とも素敵です。
そんなS様、最近の街並みの変化を残念に思われているそうです。
ゆったりとした区画が魅力だった街並み。しかし近年区画を割って販売するケースが後を絶ちません。
枚方にいい街並みをつくることを一つの目標としているIFAでは、
そういうエリアではリノベーションをおすすめしているというお話をさせていただきました。
ゆったりした街並みが、これからも続くといいですよね。
最後にこれから家づくりをお考えの方へ一言お願いしました。
「やはり家づくりを考える世代は、若い方が多いかもしれないですが、
私たちはライフスタイルが確立された年代だったからこそ、
ゆったりとした気分で家づくりを楽しめました。
子供が巣立った世代の方などが、終の棲家をつくるというのもすごくいいと思いますね。
もちろん、建売やハウジングメーカー等、選択肢は色々ありますけれど、
IFAの良さは、専門家を交えて、自分たちの求めるものをじっくりとつくっていく、
その過程がいいのです。
その過程があるから、この家が大好きだし、
居心地がいいって、ずっと思い続けることができるのです。」
なんだか、とてもよいお言葉でしたので、そのまま文章にさせていただきました。
とても知的で、色々な愉しみを知っている大人世代のS様。
そのお二人だからこその落ち着きが、お住まいにもしみこんでいるようでした。
そして暮らしを楽しまれているS様ご夫婦の姿に、大変満足そうな交久瀬先生でした。
白と焼杉の黒のコントラストが印象的なS様邸。
IFAのお客様にもよく外観をお見せする、S様にとってもIFAにとっても自慢の一邸です。
これから先、お二人と共に年月を重ね、さらに深みを増した頃…またお邪魔させてくださいね!
快く取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。