プロデューサーの樋口です。
友人の結婚式に招かれて東京へ行った際の続編です。
式の前に少し時間に余裕があったので、東京見物にどこへ行こうかと血が騒ぎましたが、
結局、真新しい話題のスポットはそっちのけで、足が向いたのは吉村順三設計のNCRビル(現・日本財団ビル、1962年竣工)と、白井晟一設計のNOAビル(1974年竣工)でした。
NCRビルは休日とあってエントランスホールすら見せて貰えず残念でしたが、
NOAビルはEVホールまで入る事ができ、白井晟一らしい空間を体験できたので一応の満足を得る事ができました。
NOAビル
どうでしょう、この異質なオーラを放つビル。
岩盤をくりぬいたかのようなどっしりと鎮座する低層部と、建物の用途をミステリアスにする楕円形の上層部。
どの角度から見ても目立ちます。
各階の窓はどうなっているのでしょうか…。裏に回ってもやっぱり窓が少ない。
この先にある異空間を予見させるエントランス。
エントランス内部から外を見る。鏡面仕上げの石貼りの壁が街並みを投影し、高さに対して細く設定された通路幅に対し、その狭さを感じさせません。薄暗い重厚感の中にあって光を意識させられます。ごつごつのレンガ貼りの外観から急にこれです。
分厚いアーチをくぐってもまだ中は窺い知れません。
この廊下に差し込む一筋の光もドラマチックです。計算尽くなのか副産物なのか。削り出されたような曲面が特徴ですが、絶妙なラウンドで違和感全くなく、洗練され、研ぎ澄まされた感性に人間臭さが同居するようで、なぜか嬉しくなりました。
エントランスとは対極に天井は低く設定されていて、親近感やヒューマンスケールと東京のど真ん中にいる都市感覚が行ったり来たり。
距離がある訳ではありませんがやっとメインの扉についた気分(笑)
EVホール。EVのデザインも抜け目なし。ここで心の中でお礼を言って引き返しました。
駐車スペースへ通じる空間
このデザインを理解するクライアントも凄い。
間もなく築50年になりますが、オフィスとショールームの機能を持つテナントビルとして現役バリバリです。
何とかオフィス空間も拝見できる機会を持ちたいものです。(プロデューサー樋口)