今回のブログはちょっと一息、ドラマのご紹介です。
NHK教育(Eテレ)にて「ハルカの光」という短編ドラマが放送されています。
名作照明の虜となった女性・ハルカ(演・黒島結菜さん)が、照明の魅力を人々に伝え、その人たちにぴったりな照明を見繕う過程で、人々の人生に次々と「光」がもたらされていく。そしてハルカ自身もまた、数々の出会いを通して心の傷を乗り越え希望の光を見いだしていく。(公式HPより抜粋)
「名作照明」がストーリー展開で重要な役割を果たすユニークな設定。
照明というアートが人の心に灯す希望を見つめる内容で、美術的な文化教養が合わさった本格ドラマです。
写真:ドラマの舞台となっているハルカが働く照明専門店「エクラ」の店内。
幸福度が高いとされている北欧では、照明器具のデザインや光の質が尊重され、室内での「光」が暮らしの中で大切な要素となっています。
インテリアを超え芸術品の領域に達したといわれる「名作照明」には「光と人間」の秘密が詰まっており、日本でもその価値が注目されています。
舞台となっている照明専門店「エクラ」もまた素敵で、各ストーリーの鍵となる「名作照明」の背景にはまた名作照明が…きっと雑誌やお店などで目にしたことがあるものもあると思います。
何より灯りをテーマとしているだけあって、映像がとても綺麗…
思わずうっとりとしてしまいます。
写真:オールスター勢揃い!テンションが上がります。この店は元レストランだった場所をドラマのために改装してつくったそうです。
ちなみに第一話で取り上げられた照明は、建築家・アルヴァ・アアルトがデザインした「ゴールデン・ベル」でした。
アアルトは、「フィンランドの父」と呼ばれるフィンランド人なら誰もが知っている建築家。「ゴールデン・ベル」は、妻でデザイナーのアイノと共同で取り組んだ高級レストラン「サヴォイレストラン(1936年)」の内装のためにデザインされ、翌年にはパリ万博のフィンランドパビリオンに展示されました。
IFAのプロデューサー樋口の自邸のダイニングを灯している照明でもあります。
(ドラマの話をした時、樋口はちょっと嬉しそうでした)
写真:樋口邸ダイニングキッチン。3灯のゴールデンベルが照らしています。
光にどんな意味を込めてデザインしたのか…デザイナーの想いやこだわりやそれをカタチにする職人の技術など、ひとつひとつにエピソードがあります。
ゴールデン・ベルは、接合を施さない一つの真鍮によりつくられており、
下に向かった開口部から光が放たれることによりまぶしさを抑え、シェードに刻まれた穴から輪のように分散されるように機能的にデザインされています。
真鍮はあえて塗装をしないことで経年変化を楽しむことができ、
また反射した光は温かく、やわらかな光が食卓を照らします。
機能的な構造から放たれるやわらかな光とフォルムの美しさは、アアルトの哲学を体現した姿、と言われています。
家の中の照明をすべて…は難しいと思いますが、
家族が集まるダイニングやリビングにひとつ、
家族と一緒に歳を重ねることができる名作照明を選ぶのもまた面白いと思います。
本放送はあと2話となりましたが、今週末3/6(土)から再放送もはじまるようです!
一話25分ほどなので、ぜひドラマを通して名作照明に触れてみてください。
(中井も勉強いたします!)
アシスタント中井