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リチャード・ノイトラ自邸  IFA海外建築研修回顧録~アメリカ西海岸

建築研究会
2020.05.01

海外建築研修にて訪問した名建築を振り返る回顧録シリーズ。
今回は、2018年2月アメリカ西海岸建築研修の旅。
訪れたのはカリフォルニア州ロサンゼルス、サンディエゴ、そしてやや内陸を向いてアリゾナ州のフェニックスです。

前回のゲティ·センター(設計:リチャード・マイヤー/1997年竣工/ロサンゼルス)につづき、今回はロサンゼルスにあるリチャード・ノイトラ自邸(1932年竣工)についてご紹介いたします。
DSCF0221写真:3階のガラス張りのペントハウス

ダウンタウンから北上し、ドジャースの本拠地からそう遠くない場所にシルバーレイクという貯水池があります。この小さな湖とも言うべききれいな貯水池に面して、今から80年以上も前に建てられた建築家リチャード·ノイトラの自邸はあります。1963年に火災で焼失していますが、当時のまま再建され、今にいたります。
と言うことで、築55年程の建物になるわけですが、80年以上も前にこのモダンなスタイルが確立されていたことを思うと、いかにノイトラが時代の先端を走っていたかを伺い知ることができます。

DSCF0325写真:前面道路ブルーバード通りからの全景。3階ペントハウスのガラス張りをつき抜けて、向こうの空が見えますね。

陽差しを受けて輝くシルバーレイクの景観を贅沢に取り込むガラスを多用した建物は、LA特有の一年を通して心地良い気候を存分に味わえます。
自然と呼応した中で居住性も追求しつつ、敷地のポテンシャルを当時先端のガラスと鉄の素材を用いて、住居の豊かさヘセンス良く昇華されていてもう脱帽です。
DSCF0228写真:2階リビングに差し込む陽光

イメージを形にするには、技術や知識もさることながら、情熱や、やり通す強い意志が求められると私は思いますが、現地に身を置いて想像たくましく見学していると、建築当時のノイトラの想いや近代建築を追い求める時代背景の、活力にあふれる膨大なエネルギー量が伝わってくるようでドキドキが止まらず、気が付くと夢中でカメラのシャッターを切ってしまいました。
DSCF0220写真:シルバーレイクの景色。3階テラスより。

学生の頃は、鉄とガラスと言えばミースやフィリップ・ジョンソンのミニマムな建築にばかり目が行きがちで、ノイトラの建築は要素が多すぎるのではとあまり感心を持てないでいましたが、百聞は一見にしかずですね。ショックが大きかったです(笑)
現代建築の教科書的な建築として、今もなおその存在感を放つ理由がわかったような気がします。
DSCF0292写真:中庭は表とは違って内向きで、オープンだけどプライベート。そのバランスが気持ちよい。

プロデューサー樋口(文・撮影)

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