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建築家エッセイ

映画の中のインテリア

建築家エッセイ
2020.04.21

IFAの建築家によるエッセイです。毎日の中にあるちょっとした出来事も、建築家の目線で見るとどんな風景に写るのでしょうか。

今回は建築家・交久瀬先生が外出できない日々でも楽しめる「映画の中のインテリア」について綴っていただきました。

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なかなか建築を見に出かける事も難しい日々が続きます。
そこでリビングで楽しめるインテリアの素敵な映画の紹介です。

『ジョンとメリー』 1969年/ピーター・イエーツ監督

ニューヨークのBARで出会ったジョン(ダスティン・オフマン)とメリー(ミア・ファロー)は土曜日の夜から日曜日の夜までの一日を、ジョンの古いアパートの一室で過ごします。

彼は家具デザイナーで、自分でリノベーション下アパートのペナントハウスに暮らしています。センスの良い家具、絵画、生活用品などが室内にうまく調和して、実に心地よ良さそうです。椅子、ソファ、テーブルなどは、一つ一つ買い集められた感じで、デザインも素材もまちまちですが、絶妙なコーディネートです。

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このインテリアの一番のポイントは、壁と天井が白。それもピュア・ホワイトではなく、柔らかいオフ・ホワイトで塗られていることです。そのことで家具の木肌や皮革のブラウン、絵画などの色彩が際立っているのです。

その中でも特別なのは二人がレコードを聴いて過ごすソファです。その配置は、居間と食堂の広がりを保ちつつ、やわらかく仕切り、部屋の重心を低く押え、くつろぎの雰囲気のワンルームをつくりあげているのです。

物語の方はというと、一日のうちにも変化する二人の想いがアパートの中だけで展開します。もしかしたら、この部屋こそがこの映画の主人公?と思いたくなるほど印象に残る素敵なオフ・ホワイトのインテリアを住まいのヒントにいかがでしょうか?

文:建築家 交久瀬常浩

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