最近、鳴り物入りで、オープンした博物館といえば、
京都国立博物館「平成知新館」です。
ミュージアムの設計では世界一と言われる谷口吉生氏の手による建築は、
あらゆるメディアにとりあげられて絶賛されているので、
偏屈な私は、明治につくられた、
片山東熊 設計の旧館の方を巡礼する事にします。
旧館の建物は帝国京都博物館として明治28年に完成。
レンガ造のフレンチバロック様式の壮麗なデザインの建築です。
中央には大きなドーム、両翼にもそれぞれ小さなドームがのっています。
正門の方から眺めると、噴水を手前にして、ロダンの彫刻を中心として左右対称の建物が見えてきます。
外部には細かい装飾が散りばめられていますが、その凹凸の出幅が小さく、手間をかけながらも「なにもやっていませんよ」という上品さのオーラを漂わせています。
内部の見どころは中央ホールです。
天皇を迎える為の部屋として設けられた大空間で、
列柱によって支えられた天井の中心から、光が降り注いでます。
外部の印象とは一転、中央ホールは、「これでもか」と言わんばかりの装飾が
空間を覆います。
しかし、色彩は、漆喰の白と基壇のグレーのみ、
それがかえって装飾を際立たせます。
こんな上品な建築他にない。と言いたいところですが、
今年、9月に開館した「平成知新館」の上品さも凄い。
こちらも水平、禁欲で勝負する…
平成VS明治の上品オーラの対決の図式といったところでしょうか?
ガチの勝負を是非ともご覧いただきたいと思います。
(京都国立博物館「平成知新館」設計・谷口吉生)
交久瀬 常浩
Katakuse Tsunehiro
IFA住宅設計通信 2015年1月号 建築家エッセイより
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