「夏の避暑地の建築」と言われて真っ先に思い浮かぶのは、
ベタ中のベタですが吉村順三設計の「軽井沢の山荘」。
「森の中に佇み、鳥になったような暮らしができる家」として
設計されたその山荘は、藤森の憧れです。
猛暑厳しい夏に緑深い軽井沢の森の中、木漏れ日と涼しい風に包まれて過ごす山荘は最高ですね。一度中に入って自分も鳥の気分を味わってみたいものです。
そして夏の避暑地気分を味わえる本、松家仁之著の「火山のふもとで」をご紹介。
夏の暑い時期、都会の設計事務所を離れ、気候のいい浅間山の麓にある山荘で設計活動をする建築家とスタッフの話。
多分ですがモデルになってる建築家は「吉村順三」。
そしてこのエピソードは同じく建築家の「宮脇檀」では?
建築好きの方ならピンと来るところ多数ありです。
コロナ禍でなかなか避暑地に行くことはできませんが、
興味があればこの本で脳内トリップを楽しんでください。
建築家・藤森大作/IFA住宅設計通信80号(2021.8月発行)より
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暦はすっかり秋ですが、まだまだ暑い日が続きますね。
今日は、IFA住宅設計室通信79号の建築家エッセイで、
藤森先生が綴ってくださった「軽井沢の山荘」と本をご紹介させていただきました。
「火山のふもとで」は、著者・松家仁之氏のデビュー長編です。
設計事務所を舞台に、国立現代図書館設計コンペの闘いと、若き建築家のひそやかな恋を描いた作品です。
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物語は1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山の麓の山荘で始まる。
舞台となる設計事務所は、夏になると、軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わし。所長は、大戦前のアメリカでフランク・ロイド・ライトに師事し、時代に左右されない質実でうつくしい建物を生みだしてきた寡黙な老建築家。
秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は佳境を迎え、その一方、先生の姪と主人公とのひそやかな恋が、ただ一度の夏に刻まれてゆく―
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IFAの建築家の先生方も、もしかしたら若い頃こんな修行時代を過ごされた方もいるかも・・・と想像が膨らんでしまいます(笑)
避暑地気分の季節は通り過ぎてしまいましたが、秋の夜長の読書の一冊として手に取っていただき、建築家の世界に触れてみてはいかがでしょうか。(中井)