IFAの建築家によるエッセイです。毎日の中にあるちょっとした出来事も、建築家の目線で見るとどんな風景に写るのでしょうか。
今回は建築家・藤森先生が、ご実家のお墓参りの帰りに訪れた「奈義町現代美術館」について綴っていただきました。
旅の目的地にしたくなる、他に類を見ない体験型の美術館です。
先日、北海道から帰省していた兄と娘と3人で、お墓参りの帰りに岡山県にある奈義町現代美術館へ行ってきました。
1994年にオープンした通称Nagi MOCA(ナギ・モカ)と呼ばるこの美術館は、2019年建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞された磯崎新さんによって設計されました。
最大の特徴は、3組の芸術家(荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子)に一般の美術館では収集不能とされる巨大作品の製作を予め依頼し、その作品、又その空間全体を作家と建築家が話し合い、美術館として建築化されていること。「太陽」「大地」「月」と名付けられた展示室にはそれぞれ作家の作品が一点ずつ、半永久的に保存されています。
美術館と言えば白い箱体の中に、美術品が並んでいる空間をイメージされる方が多いと思いますが、全く別のアプローチでつくられている空間が衝撃的です。荒川+ギンズ作の円筒状に京都龍安寺の石庭を配した「太陽」は、ものすごいインパクトと平衡感覚で、バランスを失う不思議な感覚になります。
藤森が特に好きだったのは岡崎和郎さんの「月」。意図的に反響する構造になっていて「音」が作品の一部になっています。足音や話し声、手を叩く音が空間中に響き渡りちょっと変わった空間体験ができます。
この感覚を文章で説明するのは難しい(文章力なくてすいません・・・)ので、お近くに行く事がある方は是非一度立ち寄ってみて下さい。
お子さんも楽しめる美術館です。併設されてるレストランで食べたティラミスも美味しかったので是非!
奈義町現代美術館 Nagi MOCA
岡山県勝田郡奈義町豊沢441
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