「名脇役」としての建築
家族の暮らしに、四季折々の美しい背景を
建築家:作人 | 土地を探して注文住宅を建てる
家族の暮らしに、四季折々の美しい背景を
建築家:作人 | 土地を探して注文住宅を建てる
春は桜、秋は紅葉。
市民の憩いの場として愛される、緑豊かな公園。
その眺めを「借景」として取り込んだS様邸のデザインは、どのようにして生まれたのか。
S様ご家族と建築家の作人 加藤先生、そしてプロデューサー樋口に、家づくりのストーリーを語っていただきました。
「友人家族がIFAさんで先に家を建てていて、中を見せてもらったことがあるんです」
ご友人の家でIFAの家づくりの実際を「体感」されたというS様。
いざご自身の家づくりを考えるようになったとき、その時に感じた他とは一線を画す家の雰囲気や、
家をつくるというプロセスの中で育まれたIFAとご友人との信頼関係に、好感を抱いたことを思い出されたと言います。
一生に一度の家づくりだからこそ、いくつかの工務店を回って比較もされたそうですが、
枚方T-SITEのIFAの展示ギャラリーをご覧いただき、さらにご友人宅の担当であったプロデューサー樋口ともお話しされてからは 、
「やはりここしかない」という確信があったといいます。
「家」に強い意識を持ち、しっかり手をかけて家づくりに取り組みたい、という考えのS様ご家族。
お施主様との家づくりのプロセスを重視するIFAとは、ご縁があったのかもしれません。
家づくりのスタートはまず土地探しから。
S様はお子様の学校区が変わらないようにと、近隣の物件を探しておられました。
いくつか候補はあったものの、敷地形状による制約や、
予算との不一致もあり決め手に欠ける日々がしばらく続きます。
そんな中、根気強く不動産情報サイトをチェックしていると、とある公園の側の、古い戸建て物件の情報が目に入ります。
その家の2階の窓からの写真に心惹かれたS様。すぐに樋口とも連絡を取り、一緒に内覧に訪れました。
実際にご自身の目でその景色を見た時は、ハッとなるものがあったそう。
よく知っているはずの公園の、まったく違った表情。
木立がちょうど開けたその窓からは、空を水面に映してとても美しくきらめく公園の池が広がっていました。
樋口も、この土地のために用意されたかのような景観に、
これから創造されるであろう建築との調和を想うとわくわくが止まらなかったと言います。
この土地で、もっと景色が輝けるような家を建てましょうと、ご購入を後押ししました。
今回、設計を担当したのは、建築家の作人。
実際に今回のロケーションを前にした時、ワクワクする気持ちと共に、建築家としてのプレッシャーを感じたといいます。
「どうすればこの景色のポテンシャルを、建築を介して最大限に引き出せるのか」
いつもは自身の建築デザインで魅せることを考えますが、S様のご要望は公園の景色を存分に味わえる暮らし。
だからこそ、建築が主張しすぎてはいけない。
その点を意識して、緑と光あふれる風景が浮かび上がるように、壁はあえて色味や明るさを抑えたトーンを基調としました。
加えて、リビング前に奥行きのあるバルコニーを設置。
住む人の視線が自然と外の景色へと誘われるように、バルコニー軒裏とリビング天井の素材を統一しています。
一見では気付かないような細かな意匠ですが、それによってウチとソトの一体感が演出されます。
ウチとソトの中間的な存在のバルコニーによって、外の景色に向かう空間の広がりが一層増します。
また、リラックスして眺めを楽しめるよう、住まいとしての快適さを同時に実現するのも建築の役割です。
遮るものがない西向きのリビングなので、西陽が差し込む部分の面積を最小限にすべく、軒とデッキの開口の高さを緻密に設定。
さらに周囲からの視線への配慮から、建物両袖を防火を兼ねた壁で囲み、開放的なバルコニーにプライベート性を加えています。
隣家の存在も忘れ、家族の暮らしと素晴らしい眺めだけがそこにあると感じられるよう設計されました。
いつもは主役になる建築が、時には景色を引き立てるための名脇役に。
S様邸の設計は、作人の建築家としての真の力量が顕在化した実例と言えるかもしれません。
六角形やヘリンボーンの個性的で可愛いタイルの数々。ベンチにもなる窓際の小上がり。
二列型のキッチン、スチールの手すり、考え抜かれた家事導線。
2階からの眺めが主役のS様邸ですが、室内に目を向けると、幾つもの魅力的なディテールが見えてきます。
そのどれもが、打ち合わせの中でカタチになっていった、S様ご家族の「理想の家のイメージ」の断片であり、
その断片をバランスよく全体の中でコントロールするのが建築家の役割でもあります。
「様々なショールームへ何度となく足を運びました。
やりたいことがカタチになるまで、とことん付き合ってくれるのがIFAの家づくりのすごいところ」
建築家の作人さんからも、
「ご家族の夢を実現するために、たとえ難しいことでも何とか方法を考える」
という強い熱意が感じられたのだそう。
そんな建築家から難易度の高い要求をされると、かえって仕事の意欲がかき立てられるという職人気質の大工たち。
そして全体をまとめて、最終的な着地点を探るプロデューサー・樋口を指揮者に、
チームが一丸となって、S様邸の家づくりは進められていきました。
S様邸は1階にお母様の居住スペースがある2世帯住宅になっています。
お母様が市外でお独り暮らしであったことから、「家を建てるなら2世帯住宅」というのがS様の大前提でした。
理想の2世帯住宅のあり方を考えた時、ご夫婦とお母様の考えは最初からぴったり一致していたそうです。
キッチンもトイレも別で、それぞれに独立した暮らしができる完全2世帯住宅。
「これまで1人で気ままに暮らしてきたので、同居といっても互いに干渉しすぎない関係でいたかったんです」
お母様は新しい家でも、自分のペースでのんびりとした暮らしを手に入れられました。
新しい家に引っ越す前も、週に1度くらいの頻度で顔を合わせていたというS様ご家族とお母様。
その距離感は今もあまり変わっていないそう。
「車が無かったら『どこかへ出掛けてるんだろうな』くらいのほうが、お互いに気楽でいいじゃないですか」
と、お母様は朗らかに笑ってお話しくださいました。
一方で、ご家族全員に個室を確保したいというご要望に応えるため、1階にはお嬢様お2人の子供部屋も置くことになりました。
「1人で気ままな生活がいいとは言うものの、孫たちの存在が感じられるのはやっぱり嬉しいですね」
そうお話しされるときは、心温かな“おばあちゃん”の顔を見せてくださいました。
IFAの特徴は、家づくりの過程もお施主様にとことん楽しんでいただく、ということ。
その一例として、希望する方には施工作業の一部に参加していただくケースもあるのです。
今回のS様ご家族は、まず奥様とお嬢様たちから「自分の手でタイルを貼りたい!」とのリクエストがあり、
洗面所のタイル貼りに挑戦してもらうことに。
職人たちの指導のもと、親子でワイワイ楽しそうに作業される様子は、とても微笑ましいものでした。
そして、そのお話を聞かれたお母様も、ご自身の部屋のタイル貼りにチャレンジ!
「思ったよりも難しい(笑)」と苦戦しながらも、すべての作業が終わる頃にはすっかり腕を上げておられたのです。
他にもS様邸では、外構で使用する100枚を超す木の板への保護塗装を、すべてご家族の手で塗っていただきました。
「タイル一枚でも自分たちの手で貼ることで、グッと家に愛着が湧きます。
作業に関わらせてもらったことは、かけがえのない体験でした」
家を「買う」のではなく「つくる」。
その実感は、IFAだからこそお客様に提供できる価値だと考えています。
「今振り返って一番わくわくしたのは、いよいよ工事が始まってから家が建つまでの時間だったかも」
お話ししている途中、奥様がぽつりと呟きました。
施工期間中は、よくお仕事帰りに現場に寄ったという奥様。
仕事中の大工との会話は、家をつくっていることを実感する時間でもありました。
時には大工より「さっきお子さんがランドセルのままで友達連れて来てたで」と笑いながら教えてくれることもあったとか。
なかなか行動力があるお子さんです。
「いよいよ家が完成する!というときに湧き上がってきたのは、喜びよりも先に寂しい気持ちでした。
もう大工さんたちに会えなくなるんだと思って」
家が建つまでの時間は、限りあるもの。家づくりは結果だけでなく、
その過程も特別なものとして楽しんでいただきたいというのが、IFAの願い。
今回のS様ご家族には、いくつもの幸せな思い出をつくっていただくことができたようです。
池のある公園際というポテンシャルに魅せられて始まった、S様邸の家づくりのストーリー。
晴れて家が完成し、そこでの暮らしがスタートしてからも、その感動は色褪せることなく、家族の日常を彩っています。
「西向きの窓だから、毎日、夕陽を眺められるんです。
リビングのどこにいても夕陽の輝きが目に入って、それだけでも最高の贅沢だと思います」
建築家の作人も、一日の光の移り変わりを計算に入れてリビングを設計していました。
日が沈む頃になると、リビングと廊下を間仕切るガラス壁に夕陽が映り込みます。
すると室内にも、その時間だけ幻想的な輝きが生まれるのです。
空間を構成する全てのパーツに意味がある。建築家としてのこだわりです。
美しい夕暮れの眺めは、そこに住む人達だけに与えられた特権と言えるでしょう。
S様邸のリビングからの眺めは、そこに住むご家族はもちろん、訪問客をも惹きつけます。
1階に住むお母様も、初めてお招きしたご友人は「この家に来たなら、ここからの景色を見なくちゃ!」と言って、
いつも真っ先に2階へ案内するそう。
皆さん「大阪の住宅街とは思えない!」と驚かれた後は、その空間がすっかり心地良くなるようです。
「桜の季節は、みんな我が家のバルコニーでお花見するんです」
嬉しそうにお話しされるご家族の笑顔が印象的でした。
最近では、特にお嬢様のお友達が家に集まることが多いのだとか。
時には1階のお母様のリビングを借りて、子供達がパーティーをすることも。
賑やかな声が響くことで、家に活気が感じられると、お母様も喜んでおられます。
温もりのある家には、人が集まるもの。
S様邸からの美しい眺めと、心地よい空間は、これからも多くの人から愛され続けるのでしょう。
S様、お忙しい中、ご家族みなさんでインタビューにご協力をいただき、本当にありがとうございました。
そして今後ともよろしくお願いいたします。